かつてここのお家の敷地内には
煉瓦で囲われたまーるい池があって
そこには小学生ぐらいの子どもの手のひらくらいに成長した
可愛いカメが住んでた
隣の家には遊ぶ子どもがいなかったので
このカメだけが私たち探検ごっこする仲間の友達だった
手のひらにのせると短~い足をヨチヨチさせて歩いて可愛かった
時々、池に置いてきぼりじゃ寂しいんじゃない?
なんて言い訳しながら家に連れて帰ろうとしたこともあった
何年もして、学校から帰ってみるといつもと違う風景が広がっていた
隣の庭が木も池もなくなって更地になってしまっていた・・・
いつも遊んでいたカメが死んでしまったんじゃないかと思い悲しくなり
何度も母親にカメの話をした、、、
カメは知らない?どこに行ったか知らない?って・・・
聞いても無駄だって分かってた。
子どもの世界なんて親は当然知らない
毎日朝から晩まで働いて子どもを育てることで精一杯だから
子どもが何を見て何を感じ悩み悲しんでいたか・・・
分からない、、、だってそれは子どもの秘密なんだもんね
それでもせめてカメがどこに行ったか知りたかった
本当にそれだけで良かった
あの独りぼっちカメはどこに行ったのだろう